2024年1月1日、認知症基本法(正式名称「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」)が施行されました。これにより、認知症の人やその家族が、安心と希望をもって生活できる世の中にするために、国策として、医療介護の現場と社会の両面でさまざまな取り組みがなされていくようになります。
認知症のひとつ、アルツハイマー病の新しい治療薬「レカネマブ」も今年から本格的に臨床投薬が始まり、大きな期待が寄せられています。
レカネマブ(商品名:レケンビ 点滴静注)は、従来の症状緩和を目的とした薬と異なり、原因物質に直接作用することができる世界で初めての唯一の薬です。認知症の進行抑制に効果があるとされ、認知機能や日常生活機能の低下を抑える効果が報告されています。
レカネマブが使えるのは、認知症の中でも「アルツハイマー病」の患者で、脳に「アミロイドβ」という異常なたんぱく質がたまっていることが確認できている人に限られます。また、投与対象となるのは認知症と診断される前の「軽度認知障害」と「軽度の認知症」の人だけとなっています。
気になる費用の話です。昨年12月のニュースで年間298万円という金額に驚いた方も多いでしょうが、医療保険の適用があるため法外な金額にはならないので安心していいようです。
厚生労働省によれば、来年2025年には高齢者の5人に1人が認知症になるといわれています。同時に若年層の人口も激減しているので、医療・介護など社会の仕組みが大きく変わっていくことでしょう。
私のまわりでも、老若男女年齢問わず認知症、認知症かもしれないと心配されている方、そのご家族がたくさんいます(50代、60代の若年性認知症という病気も今や珍しくありません)。大切なことは「健康寿命」とそれを支える生活環境(QOL・クオリティ・オブ・ライフ)づくりです。健康寿命とは生活を、人生を楽しんで過ごせる期間のことを指し、この期間が長ければ長いほど豊かな生活であるといえます。
健康とは病気がないということではありません、病気や障害があったとしても、希望をもって安心して生活できること、精神的な健康と言い換えればいいでしょう。そのためには、認知症にならないように予防対策することはもちろん大切ですが、たとえ認知症になったときでも、自分でもしくは誰かに気づいてもらい、早期発見できるようにする、すみやかに受診検査し、進行を抑制できる医療をうけられるようにしておく、そして家族や周りの理解を得ながら、認知症という病気とうまく付き合い、みんなが安心して生活できるように環境整備をしていく、ということが重要になってきます。
近い将来、認知症になっても、やることをやれば怖くない、という世の中になっていくことでしょう。自分がやるべきことは何か?2024年、認知症対策の年をきっかけに、あらためて自分の、家族の健康寿命を私たちと一緒に向き合ってみませんか。