人がお亡くなりになった時に行わなければならない手続きは、「財産を誰かに引き渡す事」と「それ以外の事」に分けられます。
財産を誰かに引き渡す事が「相続」です。
そしてそれ以外の事、例えば、病院から葬儀場への遺体安置の手配や、葬儀・火葬・埋葬・墓じまいを手配したり、病院や施設の退去(契約解除・片付け)をしたり、生前に契約していた介護関係の契約や定期購入していた契約を解約する、と言った諸々の事務手続きを「死後事務」といいます。
「相続」については、遺言書を作成し、私ども市川事務所を遺言執行者に指定していただいている場合は相続手続きをご相続人が行う必要はありません。では「死後事務」についてはどうでしょうか。
死後事務は、一般的には配偶者、お子様が行うことが多いものですが、私どもで死後事務をお引き受けするケースは年々増えています。従来はお子様がいない方や、お子様が海外に住んでいる等死後事務を行ってもらえる親族の確保が難しかったり、頼もうと思えば頼めるけどそこまで負担をかけたくないという方がほとんどでした。しかし最近では、状況に変化が見られます。例えば、配偶者に先立たれ、ご自身が高齢である、または身体的な理由から死後事務を担うことに不安がある方や、疎遠であった独身のご兄弟が突然亡くなり、ご自身では処理しきれずに死後事務を私どもにご依頼される方もいらっしゃいます。
では、この「死後事務」にとって大事なのは何なのか?相続にも共通するのですが、やはり「生前に準備すること」なのです。「死後事務」における事前準備を中心に、これから何回かに分けてお話しさせていただきます。
今回はイメージを持っていただくために実際に私どもが死後事務について準備した事例をお話ししたいと思います。
先祖代々のお墓がお寺にあり、檀家でありましたが、ご本人は特定の宗教にこだわりがなく、海洋葬を希望されていたケースでした。
このような場合、私どもが実務で特に重視しているのが、生前のうちにお寺とご本人との間で、葬儀や墓じまいについて十分に話し合い、認識をすり合わせておくことです。ご本人の希望する葬送をお寺に知らせないまま執り行った場合、後になってお寺側との関係が悪化し、墓じまいに協力してもらえないといったトラブルに発展するおそれがあるからです。
実際このお客様のケースでは、「海洋葬自体は問題ないが、火葬後に一度お骨をお寺へ持参し、読経を行ったうえで海洋葬をしてほしい」という条件が、お寺から提示されました。
お客様とはその条件に沿って進めることを確認し、円満に墓じまいの準備ができました。このお寺は、檀家の事情や考え方に配慮し、比較的柔軟な対応をしてくださった例だといえるでしょう。
死後事務は多岐にわたります。今からできる準備がないか、一緒に考えていきましょう。