不要な高額契約をしてしまったお父様の事例
先日、このようなご相談をお受けしました。「不治の病で入院中の父が、亡くなる3ヶ月前に新車をフルローンで購入しており、父の死後にその返済に困っています。」しかも、その車は以前から乗っていたものと同じメーカー・同型車。前の車も購入からまだ2年しか経っていなかったそうです。相談者(息子さん)は、小さい頃にご両親が離婚されて以来お父様とは疎遠だったそうです。お父様はその後、一人暮らしで寂しい生活を送られていたとのことでした。
契約当時、お父様の意思能力に問題はなかったため、法的には正当な売買契約です。したがって契約自体を覆すのは難しいと思われます。しかし、状況から考えると「買う必要の乏しい高額商品を、心の隙につけ込んで契約させた」典型例とも言えるでしょう。
高齢者を狙う「孤独」と「安心」の落とし穴
近年、凶悪な強盗事件や巧妙な詐欺事件が多く報道されています。「寂しさ」や「不安」といった心の弱みに付け込んで、不要な商品を売り込む悪質商法の被害も後を絶ちません。
特に高齢の方が単独でこうした被害を防ぐのは容易ではありません。金融資産を多くお持ちの方ほど「自分は大丈夫」と思いがちですが、実際には「購買力のある人」が営業のターゲットになりやすいのです。その結果、無駄な支出や過剰な生前贈与によって老後資金が不足してしまうケースも少なくありません。
財産管理任意後見契約の重要性
このような被害を未然に防ぐためには、信頼できる方と財産管理任意後見契約を結び、常に相談できる関係を築いておくことが何より大切です。営業担当者などの相手に対し、代理人として毅然と対応できる体制を整えておくことで、トラブルの多くは未然に防げます。
このニュースレターをお読みの方の中には、すでに財産管理任意後見契約公正証書を作成し、キーパーソンを定めている方も多いと思います。しかし、書類を「作っただけ」では十分ではありません。それをどのように活用し、実際の行動につなげていくかが、真の安心へとつながります。
変化の激しい今の時代、不安を感じる場面も多いと思います。そんな時はぜひ気軽に、「世間話をするような感覚」でご連絡ください。皆様の日常に起こる出来事こそが、私たちがより良いサービスを提供するための大切なヒントになります。
これから寒さが厳しくなってまいります。どうぞお身体を大切に、健やかに新しい年をお迎えください。心より皆様のご多幸をお祈り申し上げます。