同居の子が身勝手、お金をせびり取られたくない
子どものことは大事に思っているが、このままでは自分の将来が不安
他の子どもは怖がって、実家に近づかない・お世話してくれない
財産を言いようにされて、施設に入れられてしまうかも…


  
司法書士 市川

「老後破綻」と「あげ過ぎ貧乏」
「私にばっかり払わせるのよ、いちいち言わないけど…」
 
 同居の子が、いくつになっても親の財布をあてにしているという話はよく聞きます。子どもが家賃を払わない… 買物や外食に行っても財布すら出そうとしない… 年金暮らしとなった親御さんからすれば、やはり気になるところです。金額そのものというよりも、お子さんがまるで「払わないのが当たり前」のように思っている姿勢に親御さんとしては不安を感じるわけです。反発されても困るので強く言わないでおこうと思う反面、このままどんどんエスカレートして「財産を全部使われてしまったらどうしよう」とご心配されている方も少なくありません。
 また一方で、子どもに気に入られようと積極的に生前贈与をくり返す親御さんも増え、社会問題化してます。いずれは「自宅でお世話をしてくれるから大丈夫」と安易に考えて、無計画に贈与を繰り返した結果、ご自分の財産が目減りし、余裕のある老後を送れなくなり、あてにしていたお子さんからはお荷物のように扱われてしまう…。
 いずれのケースでも、ご自分のために財産を有効に活用できず、不安だらけの老後を送る羽目になってしまうのです。この背景にあるのは、老後のお世話についてご自分から言い出すことができず、お子さんの言うがままになってしまう「逆転した親子関係」です。
 
逆転しないためのポイントは4つ
  1)老後の人生設計、お金、住まい(ライフプラン)
  2)理解者・応援者づくり(キーパーソン)
  3)自分の老後生活について意思表明
  4)制度の利用
 
 まず、ご自身がどんな老後を送るのかイメージする必要があります。ここで重要なのは、単なる願望にならないように専門家にアドバイスをもらうこと。理想的な老後を実現するためには、お金と住まいがしっかり裏打ちされている必要があります。
 次に、老後を送る上で理解者・応援者が必要。老後には、年齢による衰え、病気、認知症など様々な不安がつきまといます。そうなった時、ご自身のことを応援し、時に代理人としていろいろお手伝いしてもらえる人が不可欠になるのです。
 そして、それらのことを、家族と社会にしっかりと表明しておくこと。自分で思っていただけ、話をしただけでは、何も実現できません。時間の経過ととともに内容が歪曲され、逆にトラブル、争いの原因となるのです。法制度を利用して、社会的に有効な書面にしておくことがとても重要です。家族の中での決まりで終わらず、銀行や役所などでも通用する法的効果のある書面にしておくことで、はじめてご自身の希望は実現できるのです。
 もし、ご家族に言いづらかったり、うまく説明できないようなら専門家から話してもらうといいでしょう。そうしてみんなで一緒に考える機会を設けることが重要なのです。
 なにも今、先行き不透明な中でお金を上げなくてもいいのです。ご自身の望む老後を応援してくれるお子さんに、遺言という形で、あなたの人生が終わったあと、ご自宅や残った財産をあげればいいのですから。